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SNS運用代行の契約終了時の引き継ぎ|アカウント権限と資料の返し方

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📅 公開日: 2026年10月10日

SNS運用代行の契約が満了や解約で終わるとき、最後の数日に行き違いが起きやすいのは、アカウントの権限、投稿素材、数字のデータ、顧客に関わる情報、最終の請求が、それぞれ別の場所で別のルールのもとにあるからです。結論から言うと、終了時の作業は「返す」「渡す」「消す」「残す」の4つに分けて、引き継ぎ書1枚に記録し、クライアントの確認をもらうところまでを一連の仕事として扱うと、抜け漏れと後日の争いを減らせます。

この記事は、SNS運用代行を個人で受けているフリーランスや副業の人が、契約を終えるときに何をどの順番で行えばよいかを整理したものです。契約期間や中途解約の考え方はSNS運用代行の契約期間・更新・中途解約の決め方で、権限の預かり方そのものはSNS運用代行のアカウント権限の渡し方で扱っています。ここでは終了の日が決まってから、最後の連絡を終えるまでの実務に絞り、返却物の分け方、引き継ぎ書の作り方、仮の例による記入例までを順に見ていきます。

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契約終了時の引き継ぎは「返す・渡す・消す・残す」の4つに分けて考える

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契約終了時の引き継ぎとは、運用中に預かったものと作ったものを、持ち主や用途に応じて、返却する、納品する、削除する、記録として残すの4つに仕分けして処理し、その結果をクライアントと共有する作業のことです。

終了の連絡を受けた直後は、何から手を付けるかが曖昧になりがちです。そこで最初に、自分の手元にあるものを4つの箱に入れていきます。「返す」は、クライアントのものを元の持ち主へ戻すことで、ログイン情報や管理権限が中心になります。「渡す」は、契約に基づいて作った成果物をクライアントへ引き渡すことで、投稿の原稿、画像、運用レポートなどが入ります。「消す」は、終了後に自分が持っている理由がなくなったものを削除することで、顧客に関わる個人情報や、一時的に預かったデータが該当します。「残す」は、自分の側で記録として保管しておくものです。取引の履歴、請求書、引き継ぎ書、受け渡しの確認の連絡などがここに入ります。

仕分けの基準は、持ち主、契約での取り決め、保管し続ける理由の3つです。迷ったときは、まず契約書や発注書に書かれているかを確認し、書かれていなければクライアントに書面やメッセージで確認します。自分の判断で「もう不要だろう」と消してしまうと、後から資料を求められたときに困りますし、逆に「念のため」と持ち続けると、情報管理の面で責任を負い続けることになります。

分類 主な対象物 判断の軸 終了時の動き
返す ログイン情報、管理者権限、承認用の連絡先、預かった端末や共有アカウント 持ち主はクライアントか 権限を戻し、自分側の権限と記録を外す
渡す 投稿原稿、画像・動画の元データ、投稿カレンダー、運用レポート、分析データ 契約で引渡しの対象になっているか 形式と置き場所を決めて納品し、受領を確認する
消す 顧客リスト、DMの内容、問い合わせの記録、共有された個人情報を含むファイル 保管を続ける理由が残っているか 返却または削除し、実施した事実を記録する
残す 契約書、請求書、引き継ぎ書、受け渡しの連絡の履歴 自分の説明責任と会計の記録に必要か 個人情報を含まない形で保管する

この表のとおり、同じ「終了」でも扱いが異なります。たとえばレポートは「渡す」ものですが、そこに顧客の氏名が載っていれば「消す」の確認も必要になります。1つの資料が複数の箱にまたがるときは、先に個人情報の扱いを決め、次に納品の形を決める順に進めると整理しやすくなります。

引き継ぎで困らないために、契約書で先に決めておく3つの取り決め

契約書で先に決めておく取り決めとは、終了時の返却と引渡しの対象、期限、そして終了後に保管してよい範囲の3点を、運用を始める前に文章にしておくことです。

終了のときにいちばん揉めやすいのは、「それは渡す約束だったのか」という点です。投稿の原稿は納品物として渡すのが自然に見えても、制作に使った自分のテンプレートや、複数の案件で使い回している分析シートまで渡す約束だったかは、契約に書かれていなければ判断が分かれます。そこで、運用を始める前の段階で次の3点を文章にしておきます。

1つ目は、引渡しの対象です。投稿原稿、画像・動画の元データ、レポート、アカウントの分析データのうち、どれを終了時に渡すのかを項目ごとに書きます。自分が持つ制作用のテンプレートや手順書は渡す対象に含めない、と明記しておくと誤解を防げます。2つ目は、期限です。権限の返却は終了日まで、成果物の最終納品は終了日の何日前までなど、日付で区切って書きます。3つ目は、終了後の保管です。自分が記録として残してよいもの(契約書、請求書、引き継ぎ書)と、削除するもの(顧客に関わる個人情報)を分けて書いておきます。

契約書のひな形や必須項目はSNS運用代行の契約書テンプレ完全版にまとめています。すでに契約を結んでしまっていて終了条項が薄い場合は、終了が決まった時点で「引き継ぎの範囲と期限」を確認するメッセージを送り、返信をもらって記録に残す方法で補えます。

法律の面では、委任の受任者に報告と引渡しが求められる

民法の委任に関する規定では、受任者は委任が終了した後に遅滞なく経過と結果を報告し、事務の処理で受け取ったものを委任者に引き渡す義務を負うと定められています。

SNS運用代行の契約は、成果の完成ではなく業務の遂行を引き受ける形が多く、その場合は準委任として扱われることがあります。準委任には、委任の規定が準用されます(民法第656条)。契約が準委任に当たるか、請負など別の性質かは、契約書の内容や実際の業務の進め方で変わるため、自分の契約書を読んで判断する必要があります。この点は契約期間・更新・中途解約の記事でも取り上げています。

準委任に当たる場合、民法第645条は、受任者が委任の終了後に遅滞なくその経過と結果を報告しなければならないと定めています。また第646条は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を、委任者に引き渡さなければならないと定めています。条文はe-Gov法令検索の民法で確認できます。ここでの受任者は運用を引き受けた側、つまり読者であるSNS運用代行者で、委任者はクライアントです。

実務に置き換えると、終了後の「報告」は最終のレポートや引き継ぎ書に、「引渡し」は預かったログイン情報や、業務のために受け取った資料の返却にあたります。条文があるから細かな手順まで法律で決まっている、というわけではありません。細部は契約書と、クライアントとの合意で埋めるものです。法律の適用や契約の解釈に迷う場合は、弁護士や公的な相談窓口に確認してください。

アカウント権限は「自分の権限を最後に外す」順番で返す

権限の返却とは、クライアント側の管理者が運用に必要な権限を回収できる状態にしたうえで、代行者自身に付与されていた権限を外し、外部ツールとの連携も解除することを指します。

クライアント所有のアカウントを預かっている案件では、返却の考え方を「クライアントが完全に管理できる状態にしてから、自分の権限を外す」順番にするのが安全です。先に自分の権限を外してしまうと、クライアント側の設定が不十分だったときに、確認や修正を手伝えなくなるからです。次の流れで進めます。

最初に、クライアント側に管理者権限を持つ人がいて、その人が実際にログインできることを確認します。次に、自分に付与されている権限の一覧を書き出します。投稿の権限、広告や分析の権限、メッセージの対応権限など、運用の範囲ごとに分けて控えておくと、外し忘れを防げます。続いて、予約投稿ツール、分析ツール、画像の共有フォルダなど、アカウントに連携している外部ツールの一覧を作り、クライアントに引き継ぐものと、自分が解除するものに分けます。最後に、クライアントの管理者が確認できた時点で、自分の権限を外します。

各サービスの権限の外し方や、ビジネス向けの管理画面でのユーザー削除の操作は、画面の表示や名称が更新されることがあります。そのため、この記事では操作の詳細までは書かず、各サービスの公式ヘルプで最新の手順を確認する前提にします。確認した日付と画面の様子を引き継ぎ書に一言残しておくと、後から経緯を説明するときに役立ちます。

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パスワードを預かっていた場合は、変更の依頼とメモの破棄まで行う

パスワードを預かっていた場合の返却とは、クライアントにパスワードの変更を依頼し、自分の側にあるメモ、チャットの履歴、パスワード管理ツールの記録を消すところまでを含みます。

権限の付与の仕組みを使わず、ログインIDとパスワードを共有して運用していた案件では、権限を外すという操作がありません。そのため、返却は「クライアントがパスワードを変更し、自分が控えを消す」という2つの動きになります。変更はクライアント本人が行うのが基本で、自分が代わりに変更して新しいパスワードを伝えると、再びパスワードを預かることになり、返却の意味が薄れます。

自分の側で消すものは、思ったより広い範囲に及びます。パスワード管理ツールの登録、ブラウザの保存済みパスワード、ノートアプリのメモ、チャットの過去メッセージ、メールの本文、スクリーンショットなどです。チャットの履歴に残るパスワードは、検索すればすぐ見つかる状態なので、該当のメッセージを削除するか、クライアントとの合意のうえで履歴ごと管理方法を決めておきます。二段階認証の認証コードを自分の端末で受け取っていた場合は、受け取り先の端末や連絡先をクライアント側に変更してもらう必要があります。これを忘れると、終了後もログインの確認コードが自分に届き続けます。

パスワード共有を避ける運用の設計はアカウント権限の渡し方の記事が詳しく、終了時に迷わないためにも、運用開始の段階で権限付与の形に寄せておくのが望ましい進め方です。なお、返却が終わったことの確認は、後ほど紹介する引き継ぎ書とあわせて、日付入りで残します。

投稿素材・データ・レポートは、一覧を作ってから形式を決めて引き渡す

成果物の引き渡しとは、運用中に作った原稿、画像、動画、レポート、分析データを、契約で決めた範囲と形式でクライアントに納品し、受領を確認することです。

成果物の引き渡しは、先に「何があるか」の一覧を作るところから始めます。一覧がないまま「全部送ります」と送ると、クライアント側で何がどれなのか分からず、受け取った後の確認が進みません。一覧には、成果物の名前、形式、置き場所、更新日、渡す相手、渡さない理由があるものを書き、渡す形式は、クライアントが開ける形(共有フォルダ、PDF、スプレッドシートなど)に合わせます。

成果物 渡す形式の例 渡す前の確認 関連する記事
投稿の原稿とキャプション スプレッドシート、テキストファイル 公開済みと未公開を分けて記載する 投稿カレンダーの作り方
画像・動画の元データ 共有フォルダ 素材の権利の許諾が終了後も有効か確認する 素材利用ルール
運用レポートと分析データ PDF、スプレッドシート 最終月の数字と、運用開始前の数字の記録を並べて渡す 開始前ベースライン
運用の手順メモ 文書ファイル 自分の汎用テンプレートと、案件専用の手順を分ける 連絡ルールの決め方

表の左から2列目までを見れば、渡す形式と内容が一目で分かります。この中で見落としやすいのは、素材の権利です。写真や音源は、運用期間中の使用だけを許諾されていたり、クライアントが使える範囲と代行者が使える範囲が違っていたりします。終了後もクライアントが同じ素材を投稿に使い続けられるかは、素材ごとの許諾を確認して引き継ぎ書に注記します。確認のポイントはSNS運用代行の素材利用ルールが参考になります。

最終のレポートは、運用開始前の状態と最終月の状態が並んで見えると、クライアントが次の担当者や社内に説明しやすくなります。月次の書き方はSNS運用代行の月次レポートの書き方にまとめています。最終レポートは、通常の月次に加えて「運用期間を通した振り返り」と「次の担当者に伝えたい運用上の留意点」の2つの段落を足すだけでも、引き継ぎとしての価値が上がります。

個人情報と顧客データは、返却か削除かをクライアントに確認して処理する

個人情報の返却・削除とは、業務のために預かった顧客の氏名、連絡先、DMや問い合わせの内容などを、クライアントの指示に従って返す、または消し、実施した事実を記録することです。

運用の中で、フォロワーとのやり取りや問い合わせ対応を通じて、個人を特定できる情報に触れる場面があります。個人情報保護法の第22条は、個人情報取扱事業者について、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないと定めています。また第25条は、個人データの取扱いを委託する場合に、委託した側が委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めています。条文はe-Gov法令検索の個人情報の保護に関する法律で確認できます。ここで注意したいのは、主語がそれぞれ「個人情報取扱事業者」と「委託した側」である点です。自分が個人情報取扱事業者に当たるかどうか、また委託の関係がどう整理されるかは、扱う情報の量や契約の形で変わります。

個人情報保護委員会は、事業者向けの資料として、個人データ取扱要領の例や、委託先管理に関する着眼点を法令・ガイドライン等のページに掲載しています。自分の扱いが法令上どうなるか判断しにくいときは、こうした公的資料を見ながら、クライアントに「終了後の個人情報の扱いをどうしたいか」を尋ねるのが現実的です。

実務では、次の3段階で進めます。第一に、手元にある個人情報を含むファイルとツールを洗い出します(スプレッドシート、ダウンロードしたデータ、DMのスクリーンショット、連絡用チャットなど)。第二に、クライアントから「返却してほしい」「削除してほしい」「自分の側で保管する」のいずれかの指示をもらいます。第三に、実施した日付と対象を引き継ぎ書に記録します。削除の事実を書くとき、消した中身まで書き写してしまうと、記録自体が個人情報の置き場所になるため、「何件のファイルをいつ削除したか」程度にとどめます。

基本的な考え方と、チェックリストの形はSNS運用代行の個人情報保護法対応が参考になります。守秘義務の範囲が終了後も続く点はSNS運用代行のNDAの結び方で確認できます。

最終請求は、終了日の確定後に精算の範囲を整理して送る

最終請求とは、契約の最終月までの報酬と、契約で認められた実費などを整理し、終了日が確定した後にクライアントへ請求書として提示する手続きのことです。

終了のときの請求は、通常の月次の請求より確認事項が増えます。まず、終了日がいつで、その日までに行った業務は何かを確定します。月の途中で終わる場合の日割りの扱いや、すでに受け取った前払いの精算は、契約書に書かれているかを先に確認します。書かれていなければ、請求を送る前にクライアントと文章で合意しておくと、請求の段階で揉めにくくなります。民法の第648条は、受任者が特約がなければ委任者に対して報酬を請求できないこと、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ請求できないこと(期間によって報酬を定めたときは別の扱い)を定めています。

支払いの時期については、政府広報オンラインのフリーランス新法の解説で、従業員を使用している発注事業者は、物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を設定し、その期日内に支払うことが義務付けられると整理されています。この規定は事業者間の取引が対象で、一般消費者が個人に依頼する場合は対象外です。自分の契約がこの法律の対象になるか、クライアントが従業員を使用しているかによって、当てはまるかどうかが変わります。

同じ解説では、従業員を使用している発注事業者が6か月以上の業務委託を中途解除したり更新しなかったりする場合は、原則として30日前までに予告する必要があるとされています。解約を告げられた側としては、予告の時期が契約と整合しているかを確認する場面があるかもしれません。法律の詳しい読み方はSNS運用代行者が知るべきフリーランス新法にまとめています。請求書の書き方はSNS運用代行の請求書の書き方を参照してください。

最終請求を送るタイミングは、権限の返却と成果物の引き渡しが終わり、クライアントが受領を確認した後にそろえるのが無理のない順番です。業務が残っているうちに請求だけを先に出すと、クライアントから見て「まだ終わっていないのに請求が来た」という印象になりかねません。損害賠償や免責の取り決めが終了後にも関係するときは損害賠償・免責条項の書き方も確認しておくと安心です。

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引き継ぎ書には、返したもの・渡したもの・消したもの・残すものを一覧で書く

引き継ぎ書とは、終了時に行った返却、納品、削除、保管の内容を、日付と担当者とともに1つの文書にまとめ、クライアントの確認を得て双方が保管する記録です。

引き継ぎ書は長い文書である必要はありません。むしろ、1枚で全体が見渡せて、第三者が読んでも何が行われたか分かることが重要です。載せる項目は、対象のアカウント名、契約の終了日、権限の返却の状況、成果物の引渡し状況、個人情報の処理状況、残された課題、終了後の連絡窓口、確認者と確認日です。書き方のコツは、事実だけを短い文で書くことと、実施できていないことを隠さずに「未了」と書くことです。未了の項目に理由と対応予定日を添えておけば、後から問題が起きても、対応の経緯を説明できます。

次の表は、引き継ぎ書の記入例です。数字や名称はすべて仮の例で、実在のクライアントや案件とは関係ありません。

区分 項目 状況(仮の例) 確認日(仮の例)
返す クライアントAのInstagramアカウントの権限 クライアント側の管理者がログインできることを確認し、代行者の権限を削除した 終了日の前日
返す 予約投稿ツールとの連携 連携を解除し、ツール側の契約はクライアントが継続する 終了日の前日
渡す 投稿原稿と画像の元データ 共有フォルダにまとめ、一覧表を添えて引き渡した 終了日の3日前
渡す 最終の運用レポート 運用開始前の数字との比較を添えてPDFで納品した 終了日の3日前
消す DM対応で受け取った問い合わせの記録 クライアントの指示に従い削除し、削除した日を記録した 終了日
残す 契約書、請求書、本引き継ぎ書 個人情報を含まない形で代行者側が保管する 終了日
未了 二段階認証の受け取り先の変更 クライアント側の対応待ち。対応後に完了の連絡をもらう 対応予定は終了後の翌週

この表のように、区分と状況を並べておくと、読み手は「返した」「渡した」を一目で追えます。最後の行のように未了を残す場合は、誰が何をいつまでに行うかを書きます。クライアントが記入や確認に慣れていないときは、引き継ぎ書の末尾に「内容に相違がなければ、このメッセージへの返信で確認とさせてください」と書き添える方法もあります。署名や押印を求めすぎると、クライアントの負担が増えて確認が遅れるためです。

終了日までの流れを時系列に並べて、誰がいつ何をするかを決める

終了までの流れとは、終了が決まった日から終了後の連絡窓口が閉じる日までを時系列に区切り、各段階の作業と担当を決めた進行表のことです。

やることが多いほど、順番が曖昧だと終了日に作業が集中します。次の表は、終了日から逆算した進行の例です。時期の区切りは仮の例で、契約書の予告期間や案件の規模に合わせて調整してください。

時期 代行者の作業 クライアントの作業
終了が決まったとき 引き継ぎの範囲と期限を確認するメッセージを送る。権限・連携ツール・成果物の一覧を作る 返却と引渡しの希望、個人情報の扱いの希望を伝える
終了の少し前 成果物と最終レポートを引き渡す。クライアントの管理者がログインできるか確認を依頼する 成果物の受領を確認する。管理者権限を確認する
終了日 自分の権限を外し、連携を解除する。個人情報を削除する。引き継ぎ書を送る 引き継ぎ書の内容を確認し、返信する
終了後 未了の項目を完了する。最終請求を送る。決めた期間だけ問い合わせに応じる 請求を確認し、支払いを行う。未了の項目に対応する

流れの中で大切なのは、「終了日に自分の権限を外す」前に、クライアントが自分でログインして管理できることを確かめる作業を挟むことです。この確認は、クライアントの手が空いている時間帯に合わせて依頼しておきます。クライアントとのやり取りの方法や返信の目安はSNS運用代行の連絡ルールの決め方にまとめているので、終了期間中の連絡も同じ手段に統一すると、記録がまとまります。

終了までの期間が短い場合は、すべてを同時に進めるのではなく、「権限の返却」と「個人情報の処理」を優先し、成果物の整理と最終請求は終了後に残す、という優先順位の付け方もあります。ただしその場合も、引き継ぎ書に未了として書き、期限を共有しておくことが前提です。

引き継ぎ完了のメッセージは事実と未了を分け、後任や外注先には範囲を決めて渡す

引き継ぎ完了のメッセージとは、終了日にクライアントへ送る最後の連絡で、実施した内容、未了の項目、終了後の問い合わせ窓口を、短い文章にまとめて伝えるものです。

引き継ぎ書を送るときに添えるメッセージは、短く、事実を先に書きます。次の文面は仮の例です。

仮の例:「クライアントA様 本日で運用代行の契約が終了となります。ご担当の皆様には、これまで多くのご確認とご協力をいただきありがとうございました。終了にあたり、次の対応を行いました。アカウントの権限の返却と連携ツールの解除、投稿原稿・画像・最終レポートの共有フォルダへの格納、DM対応で受け取った記録の削除です。詳細は添付の引き継ぎ書をご確認ください。未了の項目は二段階認証の受け取り先の変更で、A様側の設定が完了した際にご一報ください。内容に相違がなければ、このメッセージへの返信をもって確認とさせてください。終了後2週間は、引き継ぎに関するご質問にお答えします。」

この文面のポイントは3つあります。第一に、やったことを具体的な名詞で書くこと。第二に、未了の項目を、相手の対応が必要な点と一緒に書くこと。第三に、問い合わせに応じる期間を区切ることです。期間を区切らないと、終了後も無期限に対応を求められる関係になりかねません。応じる期間の長さは、契約書の定めに沿って決めてください。

もし終了の理由がトラブルや不満にあって、連絡が冷え込んでいる場合は、感情的な表現を避けて、淡々と事実だけを書きます。炎上や苦情が絡む場合は、炎上・クレーム初期対応マニュアルの考え方も参考になります。

完了のメッセージとは別に、後任の運用者や、自分が再委託していた外注先がいる場合の渡し方も整理しておきます。後任への引き継ぎとは、必要な情報だけを範囲を決めて渡し、不要になった情報を回収する作業のことです。

クライアントが次の運用者を決めている場合、引き継ぎ書を後任の人にも見てもらう場面があります。このとき、自分の判断で後任に直接資料を送るのではなく、クライアントが誰に何を渡してよいかを指定してから渡します。クライアントの許可なく第三者に資料を渡すと、守秘義務の違反になるおそれがあります。後任との打ち合わせに同席するかどうかも、契約と報酬の範囲で扱いが変わるため、事前に確認します。

自分が運用の一部を外注に出していた場合は、外注先に預けていた権限と資料を回収する作業も必要です。外注先には、終了日を伝え、アカウントの権限を外してもらい、預けた資料の削除を依頼し、完了の連絡をもらいます。再委託の許諾や、渡してよい情報の線引きについてはSNS運用代行の再委託の進め方で詳しく解説しています。外注先からの完了の連絡も、自分の引き継ぎ書に添付して残しておくと、クライアントへの説明にそのまま使えます。

終了後に運用実績として紹介するときは、契約と許諾の範囲を確認する

運用実績の紹介とは、終了した案件の内容を、自分のポートフォリオや提案書、SNSのプロフィールなどで第三者に見せることで、公開できる範囲は契約書とクライアントの許諾で決まります。

契約が終わると、その案件を自分の実績として紹介したくなります。ただし、紹介してよいかどうかは、契約書の秘密保持の条項と、クライアントの許諾によります。クライアント名、アカウント名、数字、画面のスクリーンショットは、公開すると相手の情報を外に出すことになるため、書面やメッセージで了解を得てから使います。引き継ぎ書を送るときに、「実績として紹介してよい範囲」を一緒に尋ねておくと、関係が良好なうちに合意が取れます。

許諾が得られなかった場合でも、案件の内容を匿名にして一般化することで、実績としての意味を残せる場合があります。たとえば、クライアント名を出さず、担当した業務の種類と、自分が行った工程を説明する形です。ただし、数字を載せるときは、自分の記録で裏付けられるものに限ります。運用開始前の数字を記録しておけば、実績を説明するときに根拠になります。開始前ベースラインの記事で、記録の方法を紹介しています。

次の案件につなげるための営業や提案書についてはSNS運用代行の提案書・営業DMの書き方が参考になります。終了の対応を丁寧に行うことは、次の相談や紹介につながる土台でもあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 契約が終わったら、すぐにアカウントの権限を外してよいですか。
クライアント側の管理者がログインできて、必要な権限を持っていることを確認してから外す順番が安全です。確認前に外すと、設定の不備があったときに手伝えなくなります。確認の依頼と結果は、日付とともに記録に残します。
Q2. 自分で作った投稿のテンプレートも、クライアントに渡す必要がありますか。
契約書に引渡しの対象として書かれているかで決まります。書かれていなければ、案件専用に作った原稿や素材は渡し、複数の案件で使う汎用のテンプレートや手順書は渡さない、という線引きを先に確認しておくと行き違いを防げます。判断に迷うときは、メッセージで範囲を確認します。
Q3. 預かった顧客の情報は、いつまでに消せばよいですか。
契約や、クライアントの指示で決まる部分が大きいです。個人情報保護法の第22条は、個人情報取扱事業者について、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めると定めています。自分がこの事業者に当たるかは扱う情報で変わるため、クライアントに返却か削除かの希望を確認して、実施日を記録します。
Q4. クライアントが引き継ぎ書に返信してくれないときはどうしますか。
連絡の履歴を残したうえで、期限を示して再度確認を依頼します。「期限までにご連絡がない場合は、記載の内容で確認いただいたものとして扱います」と事前に伝えておく方法もありますが、扱いは契約の内容とクライアントとの関係によります。トラブルの懸念があるときは、専門家や公的な相談窓口に相談してください。
Q5. 終了後に追加で質問が来たら、無償で答える必要がありますか。
契約書に終了後の対応期間が書かれていればそれに従い、書かれていなければ、引き継ぎに関する質問に応じる期間を完了のメッセージで区切って伝えておくと整理しやすくなります。期間を過ぎた相談は、新たな業務として別途の取り決めをする方法もあります。
Q6. 解約を告げられたのが突然でも、同じ手順で進めてよいですか。
進め方の骨格は同じです。ただし時間が限られるため、権限の返却と個人情報の処理を優先し、成果物の整理と最終請求を終了後に回して、引き継ぎ書に未了として期限を書きます。予告の時期が契約や法律の定めと合っているかは、契約書と前述の最終請求の項で確認できます。

まとめ|終了時の仕事は、返す・渡す・消す・残すを記録に残して完了とする

SNS運用代行の契約終了時の引き継ぎは、アカウントの権限を返す、成果物を渡す、個人情報を消す、記録を残すの4つに分けると、全体が見渡せます。権限は、クライアントが管理できる状態を確かめてから自分の権限を外し、パスワードを預かっていた場合は変更の依頼と自分側のメモの破棄まで行います。成果物は一覧を作ってから形式を決めて引き渡し、素材の権利は終了後も使えるかを確認します。個人情報はクライアントの指示を受けて返却か削除を行い、実施した事実だけを記録します。

最終請求は、引き渡しの受領が確認できた後に、精算の範囲を整理して送ります。そして、これらの結果を1枚の引き継ぎ書にまとめ、事実と未了を分けて完了のメッセージとともに送ります。契約の細部は、契約書とクライアントとの合意で決まるため、運用を始める前に終了時の取り決めを文章にしておくことが、いちばんの備えです。次に新しい案件を受けるときは、契約期間・更新・中途解約の決め方とアカウント権限の渡し方とあわせて、終了時の項目を最初の契約に入れておいてください。

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