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SNS運用代行の料金改定の伝え方|既存取引先への通知時期と案内文の例

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📅 公開日: 2026年10月8日

SNS運用代行で既存のクライアントに料金改定を伝えるときは、金額を先に切り出すのではなく、「作業範囲がどう変わったか」「契約書は改定をどう定めているか」「いつ・どの方法で伝えるか」の3点を先に整理してから連絡すると、話が進みやすくなります。改定の連絡で揉めやすいのは、金額そのものよりも、説明の順番と合意の残し方があいまいなときです。

この記事では、SNS運用代行を個人や小さなチームで受けている人に向けて、料金改定を検討する前の整理、契約書の改定条項と更新時期の関係、通知の時期と方法、案内文の例(仮の例)、取引先との合意の取り方と記録の残し方を順番に解説します。あわせて、フリーランス法や取適法(旧下請法)が関係する場合に、どの公的機関のどのページで確認すればよいかも、適用条件を含めて整理します。金額の相場や具体的な改定幅は取引ごとに違うため、この記事では数字を示さず、決め方の手順に絞って扱います。

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料金改定を切り出す前に、作業範囲の変化を整理する

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作業範囲の整理とは、契約を結んだ時点で約束していた業務と、現在実際に行っている業務の差を、項目ごとに書き出して比べることです。

料金改定の相談が通りにくくなる典型は、「忙しくなったので上げたい」という感覚だけで切り出してしまうケースです。相手から見ると、何が変わって、なぜ今の料金では合わなくなったのかが見えません。そこで最初にやるのは、契約時の業務と現在の業務を並べて、差を言葉にすることです。

差の出方は大きく三つに分けられます。一つ目は、契約には含めていなかった作業が、依頼の積み重ねで増えているケースです。たとえば、当初は投稿の制作と予約投稿だけだったのに、コメントやメッセージへの返信、ストーリーズの追加制作、キャンペーンの告知対応などが少しずつ加わった場合です。二つ目は、作業の量そのものが変わったケースで、投稿本数の増加や、アカウント数・媒体数の追加がこれに当たります。三つ目は、作業の難しさや関わる人数が変わったケースで、確認や修正の往復が増えた、承認者が増えた、といった変化です。

ここで大切なのは、「増えた作業」と「もともと含まれていた作業」を混ぜないことです。契約書や見積書に書いてある業務範囲を基準にして、範囲外の追加分を切り分けます。業務範囲の書き方そのものは見積書の書き方の記事で、料金表への落とし込みは料金表テンプレートの記事で扱っているので、手元の契約・見積の書類と照らしながら読み進めてください。

範囲の整理は、料金を上げる場面だけでなく、料金を据え置く判断にも役立ちます。整理してみた結果、実は増えた作業がほとんどなく、改定の根拠が弱いとわかることもあります。その場合は、無理に改定を切り出さず、次の更新時に範囲を見直す選択もあります。

工数記録の取り方|改定の説明に使える記録項目

工数記録とは、運用代行の各作業にかかった時間と内容を日付つきで残しておく記録のことで、料金改定の理由を客観的に説明するための材料になります。

工数記録は、改定を決めてから慌てて作るものではありません。普段から簡単な形で残しておくと、改定を考えたときに「どの作業が、どれくらい増えたのか」を振り返れます。記録は細かすぎると続かないため、次の表のように、後から集計できる最小限の項目に絞るのが現実的です。

記録項目 書く内容 改定の説明での使い道
日付 作業した日 増加が一時的か、継続しているかを見分ける
作業の種類 企画、制作、投稿、返信対応、分析、打ち合わせなど 契約の業務範囲に含まれる作業か、範囲外かを分ける
かかった時間 おおよその所要時間 作業の種類ごとの負担の変化を比べる
依頼の経緯 誰からの依頼か、契約範囲内か 追加依頼が積み重なった流れを説明する
修正・確認の回数 やり取りの往復回数 承認や修正の工程が増えたかを示す

記録の使い方で気をつけたいのは、記録をそのまま相手に突きつけないことです。工数の一覧を渡すと、細かい時間の数字が議論の的になり、「この作業にこんなに時間がかかるのか」という話になりがちです。記録は自分の整理に使い、相手には「契約当初と比べて、この作業が加わった」「この作業の頻度が変わった」という変化の要点だけを伝えるほうが、話が前に進みやすくなります。

また、記録は取引先の事情を責める材料ではありません。依頼が増えたのは、相手がSNS運用に期待を寄せている結果であることが多く、「頼まれたことが増えた」こと自体は関係が育っている証拠でもあります。説明の中では、その点を踏まえて、「期待に応え続けるために、体制と料金を見直したい」という流れで伝えると受け取られやすくなります。

運用の成果と作業量の両面から報告する習慣があれば、改定の連絡もしやすくなります。成果の見せ方は月次レポートの書き方の記事を参考にしてください。

改定の理由の組み立て方|相手に伝わる説明と伝わりにくい説明

改定の理由とは、料金を変える必要があると判断した根拠を、相手の立場から見て納得できる順序で言葉にしたものです。

理由は、「作業範囲の変化」「運用体制や必要な費用の変化」「提供価値の見直し」のうち、実際に当てはまるものだけを選んで書きます。当てはまらない理由を並べると、説明が長くなるうえ、一つひとつの根拠が薄くなります。たとえば、投稿本数や対応窓口が増えたのであれば、範囲の変化を主軸にします。外部のツール利用料や外注先への支払いが増えたのであれば、その費用の変化を主軸にします。

伝わりにくい説明の典型は、自分の事情だけを理由にするものです。「生活費が上がったので」「他の案件が増えて忙しいので」といった説明は、相手にとっては判断の材料になりません。反対に、「契約当初は投稿の制作と予約投稿が範囲でしたが、現在は返信対応と追加の画像制作まで含めて対応しているため、範囲と料金を整理し直したい」という説明は、相手が自社の依頼を振り返りながら判断できます。

理由と一緒に、改定しない場合の選択肢も示しておくと、相手が選べる状態になります。たとえば、「現在の範囲のまま新しい料金にする」「料金を据え置いて、範囲を契約当初に戻す」「範囲を調整して、中間の料金にする」の三つを示せば、相手は一方的に押し切られたと感じにくくなります。選択肢の出し方は、後半の「相手が難色を示したときの選択肢」でも整理します。

改定の理由には、成果の約束や他社との比較を持ち込まないようにします。「他の代行より丁寧にやっている」「これだけ成果が出ているのだから」といった言い方は、根拠を示せない場合に相手の不信を招きます。単価を上げるための考え方全般は案件単価を上げる方法の記事で扱っているため、この記事では、既存の取引先にどう伝えるかに範囲を絞っています。

契約書の料金改定条項を確認する|条項がある場合とない場合

料金改定条項とは、契約期間の途中や更新のときに、報酬額をどのような手続きで見直すかをあらかじめ定めた契約書の条文のことです。

連絡の前に、現在の契約書を読み直します。確認するのは、報酬の金額と支払い方法の条項、契約期間と更新の条項、契約内容を変更するときの手続きの条項、の三つです。契約書が見つからない、口頭の約束だけで始めた、という場合は、改定の連絡と同時に、条件を書面かメールで整理し直すよい機会になります。

契約書の状況 確認すること 進め方の考え方
料金改定の条項がある 改定できる時期、通知の期限、合意の方法 条項の手順に沿って通知し、通知の記録を残す
変更は双方の合意による、とだけ書かれている 合意の形式(書面、メールなど) 相手と協議し、合意した内容を文書に残してから切り替える
期間の定めがあり、更新時に条件を見直す 更新の申出期限、更新時の条件変更の扱い 更新の申出期限より前に、新しい条件を提案する
契約書がない、または口頭のみ これまでの請求書、見積書、メールの記録 現状の条件を文書で整理したうえで、改定後の条件をあわせて提案する

注意したいのは、契約書に定めがないからといって、一方的に新料金で請求を始めてはいけないという点です。契約書に代金の改定を一方的に行える旨の定めがない場合、料金の変更は、基本的に相手方の同意を得て行う性質のものです。同意を得る前に新料金で請求書を出すと、請求の金額をめぐって争いになりやすく、関係そのものが傷つきます。契約の効力や条項の解釈に迷うときは、弁護士などの専門家に確認してください。

契約書そのものを整える場面では、契約書テンプレートの解説で、必須項目と雛形の全体像を確認できます。料金改定条項を新しく入れるなら、次のような文面が一つの形になります。以下は、条項の書き方を示すための仮の例です。

仮の例:「第10条(報酬の見直し) 甲及び乙は、契約期間の更新時に、業務の範囲、作業量その他の事情を踏まえて報酬の額を協議するものとする。乙が報酬の見直しを希望する場合は、更新の申出期限の前までに、見直し後の報酬案とその理由を甲に書面又は電子メールで通知する。見直し後の報酬は、甲乙の合意が文書に残された日の属する期間の翌期間から適用する。」

この例は、「いつ見直すか(更新時)」「誰がどう通知するか(書面または電子メール)」「いつから適用するか(合意が文書に残った後の翌期間)」の三点を押さえた形です。そのまま使うのではなく、自分の契約期間や請求の区切りに合わせて調整してください。

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更新時期と改定時期の関係|どの節目で切り替えるか

更新時期と改定時期の関係とは、契約を続けるかどうかを判断する節目に合わせて料金の見直しを組み込み、相手が新しい条件で更新するかを検討できるようにする考え方です。

料金の改定は、契約の途中で突然行うよりも、更新の節目に合わせるほうが、相手にとって受け入れやすくなります。更新は、そもそも「次の期間も任せるか」を相手が判断する場面だからです。そこに新しい条件を添えれば、相手は継続の判断と料金の判断を一度に検討できます。

逆に、更新の申出期限を過ぎたあとに改定を切り出すと、相手は「すでに続けることが決まったあとで条件が変わった」と感じやすくなります。更新が自動で行われる契約の場合は、特に注意が必要です。自動更新の契約では、期限内に申出がなければ同じ条件で続くのが通常で、その後の改定は双方の合意が前提になります。契約期間と更新の考え方は契約期間・更新・中途解約の決め方の記事で詳しく整理しているので、更新の申出期限を確認するときに合わせて読んでください。

期間の途中で改定を検討せざるをえない場合もあります。たとえば、相手の依頼で作業範囲が大きく広がった場合です。この場合は、料金を直接変えるのではなく、「追加の作業を別料金の項目として扱う」か、「次の更新時に範囲と料金をまとめて見直す」かの二つを軸に考えます。前者は現在の契約を変えずに済み、後者は更新まで現状の負担を受け止める形になります。どちらにするかは、増えた作業の大きさと、更新までの残り期間で決めます。

改定の適用開始日は、請求の区切りに合わせます。月の途中から料金が変わると、日割りの計算や請求書の説明が複雑になるため、月の初日か、請求の締め日の翌日に合わせるのが扱いやすい形です。請求書の書き方は請求書の書き方の記事を参照してください。

通知の時期と方法の決め方|いつ、どの手段で伝えるか

通知の時期と方法とは、料金改定の意思を相手にいつ、どの手段で伝えるかを決めることで、相手が検討する時間と、後から確認できる記録の両方を確保するための取り決めです。

通知の時期は、契約書に定めがあればそれが基準になります。定めがない場合は、更新の申出期限と、相手の社内で予算や決裁が動く時期から逆算します。相手が法人であれば、予算の確認や上長の承認に時間がかかることがあるため、相手が検討できる余裕を持った時期に連絡します。個人や小規模な店舗であれば、決裁は早い反面、繁忙期に重なると返事が遅れるため、相手の忙しい時期を避けて伝えます。

この記事では、法令に基づいた通知の日数は示しません。改定の通知について一律の日数を定めた公式情報を、この記事の範囲では確認していないためです。契約書に通知期限があればそれを守り、なければ「相手が内容を読み、質問し、社内で相談するのに十分な余裕」を目安に自分で決め、その基準を案内文の中に明記します。

通知の方法 向いている場面 利点 注意したい点
電子メール 正式な通知、案内文の送付 送信日時と内容が残り、相手も読み返せる 届いたかどうかの確認を別途行う
書面(郵送・PDF送付) 契約書が書面での通知を求める場合 相手の社内で回覧しやすい 契約書の通知方法の指定に合わせる
オンライン面談・対面 相手に経緯を説明して理解を得たい場合 質問に直接答えられる 話した内容を、あとでメールに書き起こして残す
チャット 日常の連絡の延長での軽い共有 やり取りが早い 正式な通知の代わりにせず、内容はメールでも送って記録を一か所にまとめる

おすすめの組み合わせは、面談やチャットで事前にひとこと伝えたうえで、正式な案内文をメールで送る流れです。いきなり文書だけが届くと、相手は驚きます。先に「近いうちに、料金と業務範囲の見直しについてご相談したいことがあります」と一言添えておけば、相手は心づもりができます。そのうえで、案内文をメールで送り、面談で補足する形にすれば、記録も説明も両立できます。

連絡の手段や返信の目安を日頃から決めておくと、改定の連絡も円滑になります。決め方は連絡ルールの決め方の記事で整理しています。

案内文の例(仮の例)|通常の料金改定を伝えるメール

料金改定の案内文とは、改定の内容、理由、適用開始日、相手の選択肢、返信の期限を一通にまとめ、相手が判断して返信できる状態にした文書のことです。

案内文は、短く、順番を決めて書きます。基本の順序は、感謝、変更の要点、理由、適用開始日、相手が選べること、返信の方法と期限、の順です。以下は、更新の節目に合わせて通常の料金改定を伝える場合の、仮の例です。実在の取引先や事例ではなく、文面の構成を示すための例です。

仮の例:「件名:SNS運用代行の料金改定のご相談(2027年4月更新分から)/本文:いつもお世話になっております。日頃より運用をお任せいただき、ありがとうございます。さて、2027年4月からの契約更新にあたり、運用代行の料金と業務範囲を見直したく、ご連絡いたしました。現在の契約では投稿の制作と予約投稿を範囲としておりますが、ここ数か月は、コメントへの返信対応と追加の画像制作も継続してご依頼いただいております。そこで、現在の範囲を前提とした新しい月額料金を、別紙の料金表のとおりご提案いたします。適用開始は2027年4月1日を予定しております。ご検討にあたり、現在の範囲のまま新料金とするか、追加分を別項目として切り分けるか、範囲を契約当初に戻して現行の料金を維持するか、の三つの案をご用意しました。内容をご確認のうえ、2027年1月末までにご返信をいただければ幸いです。ご不明な点は、お打ち合わせの場でご説明いたしますので、ご都合のよい日時をお知らせください。」

この例のポイントは四つあります。一つ目は、何を変えたいのかが冒頭の数行で伝わることです。二つ目は、変更の理由を相手の依頼の実績に結びつけていることです。三つ目は、適用開始日と返信期限がともに日付で示され、相手が逆算して動けることです。四つ目は、三つの選択肢が示され、相手が選べる形になっていることです。金額の数字は、別紙の料金表にまとめて、本文には入れていません。本文に金額を書くと、数字だけが一人歩きしやすいためです。

別紙の料金表には、現行の月額料金、改定後の月額料金、含まれる業務、含まれない業務(追加の場合の扱い)を一覧にします。料金表の作り方は、前掲の料金表テンプレートの記事の手順に沿って整えられます。

案内文の例(仮の例)|作業範囲の見直しとあわせて伝える場合

範囲の見直しをあわせて伝える案内とは、料金の変更だけでなく、含まれる業務と含まれない業務の線を引き直し、相手が納得したうえで条件を切り替えるための説明のことです。

料金だけを上げると相手は負担だけが増えたと感じますが、範囲を整理して、何が含まれるのかをはっきりさせると、料金の意味が伝わります。次の仮の例は、追加で対応してきた作業を正式な業務に取り込み、あわせて料金を見直す場合の案内です。

仮の例:「これまで、契約の範囲外ではありますが、ご要望に応じて、ストーリーズの追加制作と、キャンペーン告知の投稿を対応してまいりました。これらの作業が継続して発生していることから、2027年4月以降は、正式な業務としてご契約に含め、それに合わせて料金を見直したいと考えております。含める業務は、ストーリーズの追加制作、キャンペーン告知の投稿、コメントとメッセージへの一次返信です。含めない業務は、広告の出稿設定、撮影の同行、新規アカウントの立ち上げです。これらは必要になった際に、別途お見積りをお出しします。範囲と料金は、別紙の料金表にまとめています。」

この案内では、「含める業務」と「含めない業務」を並べて書いています。含めない業務まで書くのは、新しい範囲の線引きを後から揉めないようにするためです。含めない業務は「別途お見積り」とすることで、料金の追加が発生する条件が相手にも見えます。範囲外の依頼をどう断るか、どう別料金にするかは案件を断る方法の記事で言い回しを整理しています。

案内文を送る前に、自分で読み返して確認する点があります。まず、相手の会社名と担当者名、契約名が正しいこと。次に、適用開始日と返信期限が実際の請求の区切りと矛盾しないこと。最後に、別紙の料金表の内容と本文の説明が一致していることです。本文と別紙の数字や範囲がずれていると、相手の信頼を損ないます。

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合意の取り方と記録の残し方

合意の記録とは、改定後の料金と適用開始日、含まれる業務の範囲について、相手が同意した事実を、後から第三者が見ても確認できる形で文書に残すことです。

相手が改定を受け入れてくれた場合でも、合意の形を残さないと、あとで「そんな話は聞いていない」という行き違いが起きます。合意の記録は、大げさな書類である必要はありません。相手からのメール返信で「内容を確認し、合意します」と明確に書いてもらえれば、それが記録になります。面談で口頭の合意を得た場合は、その日のうちに、合意した内容をメールにまとめて送り、「内容に相違なければご返信ください」と添えて、返信をもらいます。

記録に残す項目は、合意した日、合意した人(相手の担当者名と立場)、合意した内容(新しい料金と適用開始日、含まれる業務の範囲)、合意の方法(メール、書面、面談後のメール確認)の四つです。次の表は、改定の経過を記録するときの台帳の形の仮の例です。

記録の項目 記録の例(仮の例) 残す理由
案内文の送付日 2026年12月上旬にメールで送付 通知の時期が契約の期限に間に合っていたかを示す
面談での説明 2026年12月中旬にオンラインで説明し、内容をメールで共有 説明を尽くしたことと、話した内容を残す
相手の返答 三つの案のうち、範囲を調整して新料金とする案を選択 相手がどの案に同意したかを示す
合意の確認 相手担当者からのメール返信で同意を確認 合意の事実を文書で残す
適用開始 2027年4月1日から新料金、4月分の請求書から反映 請求の金額と契約の根拠を結ぶ

合意が取れたら、契約書の変更として整えます。契約書の本文を書き換えるほか、「覚書」や「変更合意書」のような別の文書で、変更する条項と変更後の内容を示す方法もあります。どの形にするかは、契約書の変更手続きの条項に合わせます。契約の範囲や形式の判断に迷う場合は、専門家に確認してください。

合意の前に、旧料金で請求を続けることも忘れてはいけません。合意が文書に残る前に新料金で請求書を出すのは避け、適用開始日の前の分は、旧料金で請求します。これは、合意前の金額変更が争いの種になりやすいためです。

相手が難色を示したときの選択肢の出し方

難色を示されたときの選択肢とは、相手が改定をそのまま受け入れられない場合に、料金、範囲、時期のいずれかを調整して、双方が受け入れられる着地点を探すための案の出し方のことです。

案内文を送ったあと、相手が「今は厳しい」「内容を詳しく聞きたい」と返してくることは珍しくありません。難色を示されること自体は、拒絶ではなく、条件を調整する入り口と受け止めます。まず、何が引っかかっているのかを確認します。金額なのか、時期なのか、範囲の変更に対する不安なのかによって、出せる案が変わるからです。

調整の軸は三つです。料金を調整する、範囲を調整する、時期を調整する、のいずれかです。料金を調整する場合は、新料金への段階的な移行(たとえば二つの期間に分けて切り替える)を提案できます。範囲を調整する場合は、含まれる業務を減らして、現行に近い料金を維持する案が考えられます。時期を調整する場合は、適用開始を一つ先の更新に延ばす案があります。どの調整でも、自分の負担と釣り合う形で設計します。

調整をする際に気をつけたいのは、相手の押しに負けて、範囲を変えずに料金だけを据え置いてしまうことです。それでは、改定を考えた理由が解消されません。根拠のある範囲の線引きを残したまま、相手の事情に合わせて時期や段階を動かすのが、継続的に関係を保つ設計です。

調整しても折り合えない場合は、契約の終了も選択肢に入ります。その際は、終了の予告の期限や、終了時の精算、引き渡しの手順を、契約書の条項に沿って進めます。手順は、前掲の契約期間・更新・中途解約の記事と、アカウント権限の返却を扱うアカウント権限の渡し方の記事を合わせて確認してください。複数の案件を並行して受けている場合は、一件の改定が他の案件の運用に影響しないよう、複数案件の管理術で作業時間の配分も見直しておくと安心です。

フリーランス法・取適法が関係する場合の確認先

フリーランス法と取適法の確認とは、取引の当事者の区分と業務委託の類型を照らして、これらの法律が自分の取引に当てはまるかを、公正取引委員会や厚生労働省の公式ページで確かめることです。

料金改定の連絡そのものを、直接規制する法律は、この記事で確認した公式ページの範囲では示されていません。ただし、取引の相手や形によっては、フリーランス法や取適法が、協議の進め方や支払い、契約の終了に関わってきます。ここでは、適用の条件を含めて、確認の入口を整理します。法律の当てはめは、契約の内容と当事者の区分で変わるため、判断が必要な場面では公的機関の相談窓口や専門家に確認してください。

まず、フリーランス法です。公正取引委員会の特設ページは、この法律でいう「フリーランス」について、従業員を使用している人や、消費者を相手に取引をしている人は、一般にフリーランスと呼ばれていても該当しないと説明しています。つまり、従業員を使わずに事業者から運用代行を受けている人が、この法律の保護の対象です。発注側に求められる内容は、発注側が従業員を使用しているか、業務委託の期間がどれくらいかによって変わります。同ページによると、フリーランスに対して1か月以上の業務委託をしている場合には、報酬の減額や買いたたきなど7つの行為が禁止されており、取引条件の明示や支払期日の設定なども定められています(公正取引委員会:フリーランス法特設ページ、法律の本文はe-Gov法令検索のフリーランス法)。この法律は発注側の義務を定めるものであり、受託側が自分の料金を見直すこと自体を制限する規定は、上記の公式ページでは示されていません。制度の全体像は、SNS運用代行者が知るべきフリーランス新法の記事で整理しています。

次に、取適法です。取適法は、2026年1月1日に下請法が改められて施行された法律で、公正取引委員会の取適法ページに、施行日と主な改正点がまとめられています。改正点のひとつに、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、委託事業者が協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に価格を決定する行為の禁止があります(公正取引委員会:取適法・振興法)。法律の条文では、費用の変動その他の事情が生じた場合に、中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じず、または必要な説明や情報の提供をせず、一方的に代金を決めることを、委託事業者がしてはならないと定めています(e-Gov法令検索:取適法(第5条第2項))。公正取引委員会のリーフレットは、協議を明示的に拒む場合だけでなく、協議の求めを無視したり、繰り返し先延ばしにしたりして協議を困難にする場合も違反になるとしています(公正取引委員会:取適法ポイントリーフレット(中小受託事業者向け))。

ただし、取適法は、すべての運用代行の取引に当てはまるわけではありません。当てはまるのは、取引の内容の条件を満たし、さらに当事者が資本金の基準か従業員数の基準のいずれかに当てはまる場合です。公正取引委員会のテキストによると、情報成果物作成委託(プログラムの作成を除く)と役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管、情報処理を除く)では、委託事業者の資本金が5千万円超で中小受託事業者が5千万円以下の場合、または委託事業者が1千万円超5千万円以下で中小受託事業者が1千万円以下の場合が対象になり、資本金の基準に当たらなくても、従業員数の基準(委託事業者が常時使用する従業員100人超、中小受託事業者が100人以下)に当たれば対象になります(公正取引委員会:中小受託取引適正化法テキスト)。あわせて、同テキストによると、役務提供委託は、事業者が業として他者に提供する役務の全部または一部を他の事業者に委託することをいい、事業者が自ら用いる役務の委託は含まれません。このため、取引先の店舗が自店の運営のためにSNS運用を依頼する場合は、役務提供委託には当たらないと整理される場合があります。一方で、情報成果物作成委託には、事業者が自らの事業のために用いる情報成果物の作成を業として行う場合の委託も含まれるなど、当てはめは取引ごとに分かれます。さらに、公正取引委員会のリーフレットによると、新しい禁止行為は、2026年1月1日以降に発注した取適法の対象取引から適用されます。

自分の立場 関係しやすい法律 確認する観点 確認先
従業員を使わず、事業者から運用代行を受ける フリーランス法 自分が特定受託事業者に当たるか、発注側の義務が果たされているか 公正取引委員会のフリーランス法ページ、フリーランス・トラブル110番
取引相手が他者へ提供するサービスの一部として、運用を再委託してくる 取適法(当てはまる場合) 取引の類型、相手と自分の資本金または従業員数 公正取引委員会の取適法ページ
自分が運用業務の一部を他の人に再委託している フリーランス法、取適法(当てはまる場合) 自分が発注側として負う義務、相手から価格協議を求められたときの対応 公正取引委員会の各ページ
取引先が自店の運営のために運用を依頼している小規模事業者 契約の定めと民法の一般ルール 契約書の改定条項、合意の記録 契約書、必要に応じて弁護士

相談先として、フリーランス・トラブル110番があります。厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営しており、フリーランスが発注事業者から仕事を受けた際のトラブルについて相談できるとされています。ただし、同窓口のサイトには、契約書の作成そのものや、網羅的なリーガルチェックは対象外とも書かれているため、相談したい内容は具体的に整理してから連絡します(フリーランス・トラブル110番(厚生労働省委託事業))。取適法については、公正取引委員会の取適法のページから、手続きや相談先、よくある質問を確認できます。

自分が運用業務を他の人に再委託している場合は、立場が逆になります。相手から報酬の見直しを求められたときに、無視したり先延ばしにしたりしないことが、取引関係の信頼にも法令の観点にも重要です。再委託の進め方は再委託の進め方の記事で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 料金改定は、いつまでに伝えればよいですか。
この記事では、法令上の日数は示していません。契約書に通知の期限や更新の申出期限があれば、それを基準にします。定めがない場合は、相手が内容を読み、質問し、社内で相談するのに十分な余裕を持てる時期を自分で決め、案内文に返信期限を日付で書いておきます。
Q2. 口頭で伝えるだけでは足りませんか。
面談や電話で先に伝えるのは有効ですが、記録が残らないため、それだけでは足りません。話した内容と、合意した料金や適用開始日は、メールなどの文書で送って、相手の返信を保存しておくと安心です。
Q3. 相手の返事がないまま、新料金で請求してよいですか。
契約書に報酬を一方的に変更できる旨の定めがない限り、避けたほうがよい進め方です。返事がない場合は、期限を過ぎたあとにもう一度、同じ内容と返信の方法を添えて連絡し、合意が文書に残るまでは旧料金で請求します。契約の解釈に迷うときは専門家に確認してください。
Q4. 作業が増えたのに、料金を据え置いてもよいのでしょうか。
据え置くかどうかは、増えた作業の大きさと、今後も続く見込みで決めます。一時的な増加であれば据え置き、継続して増えているなら、範囲の整理や料金の見直しを検討します。据え置く場合でも、範囲の線引きは文書に残しておくと、次の見直しに役立ちます。
Q5. 取適法は、私が料金を上げるときにも関係しますか。
取適法は、取引の内容と当事者の資本金または従業員数の条件に当てはまる場合に、委託事業者が守るべきルールを定めた法律です。当てはまる取引で、費用の変動その他の事情が生じて受託側が代金の協議を求めたときは、委託事業者は協議に応じず一方的に代金を決めてはなりません。当てはまるかどうかは取引ごとに違うため、公正取引委員会の公式ページで確認してください。
Q6. 改定を断られて、契約を終了すると言われたらどうすればよいですか。
契約書の終了の条項に沿って、終了の時期、精算、引き渡しを整理します。6か月以上の業務委託を発注側が解除または更新しない場合には、フリーランス法で予告の義務が定められることがありますが、適用には条件があります。公正取引委員会のフリーランス法特設ページで、自分の取引が対象かを確認してください。

まとめ|改定は「整理、確認、通知、合意の記録」の順に進める

既存のクライアントへの料金改定は、金額を切り出す前に、作業範囲の変化を整理するところから始まります。工数を簡単に記録し、契約書の改定条項と更新の申出期限を確認し、更新の節目に合わせて、メールを軸にした通知を行います。案内文には、変更の要点、理由、適用開始日、相手の選択肢、返信の期限を含め、金額は別紙にまとめます。合意は、メールの返信などの文書で残し、合意が文書に残るまでは旧料金で請求します。

フリーランス法や取適法は、取引の内容と当事者の区分によって、当てはまる場合と当てはまらない場合があります。当てはまるかどうかは、公正取引委員会、厚生労働省の公式ページや相談窓口で確認してください。まずは、手元の契約書を開いて、報酬の条項、更新の条項、変更手続きの条項の三つを読み返すところから始めましょう。

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