【無料集客】ホテルにインスタ運用は必要？成功事例や成功のポイントをプロが徹底解説

ホテルの経営やマーケティングに携わる中で、集客チャネルの確保は常に頭を悩ませる課題であり、従来の予約サイト頼みの構造に限界を感じている方も多いのではないでしょうか。

OTAへの高額な手数料を支払い続けるビジネスモデルから脱却し、自社での直販比率を高めたいと願うのは、宿泊施設運営者として当然の心理です。

そこで昨今、多くのホテルが注目し、実際に大きな成果を上げているのがInstagram（インスタグラム）を活用した自社集客という手法です。

しかし、「インスタが流行っているのは知っているが、実際に予約につながるのか」「きれいな写真を投稿するだけで本当に集客できるのか」という疑問や不安を抱いている方も少なくありません。

本記事では、単なる流行り廃りではなく、経営戦略としてのInstagram運用が必要不可欠である理由を、マーケティングのプロフェッショナルな視点から論理的に紐解いていきます。

読者の皆様が抱える「何を投稿すればいいかわからない」という悩みを解消し、明日から即座に実行できる具体的なアクションプランまでを網羅しました。

表面的なテクニックだけでなく、顧客の心を動かし予約行動へ繋げるための本質的な思考法をお伝えしますので、ぜひ最後までじっくりと向き合ってください。

ホテル業界がインスタを活用すべき3つの理由

ホテル業界においてInstagramを活用することは、もはや「やったほうがいい」オプションではなく、生き残りをかけた必須の戦略と言っても過言ではありません。

なぜなら、旅行者の行動様式が劇的に変化しており、情報収集の起点がGoogle検索からSNSへと完全にシフトしているからです。

ここでは、ホテルがInstagram運用に本腰を入れるべき3つの決定的な理由について、市場の動向と顧客心理の両面から深掘りして解説します。

1．インスタを利用して旅行先を決めるユーザーが増加中

かつて旅行先や宿泊先を探す際、多くの人々は旅行雑誌をめくるか、Googleで「地域名 ホテル おすすめ」と検索するのが一般的でした。

しかし現代では、総務省のデータが示す通りInstagramの利用率が急増しており、検索行動そのものがInstagram内で完結するという現象が起きています。

特に20代から40代の旅行意欲が高い層は、文字情報の羅列である検索結果よりも、視覚的で直感的な画像や動画を信頼する傾向にあります。

彼らは「#（ハッシュタグ）」検索を使いこなし、リアルな現地の雰囲気や実際の宿泊者の表情を確認してからでなければ、予約という行動に移りません。

公式ホームページの美しく加工された写真だけでは不十分であり、「今のリアルな空気感」を知ることができるInstagramこそが、信頼できる情報源として選ばれているのです。

もし貴館がInstagram上に存在していなければ、それは検索ユーザーにとって**「存在しないホテル」と同義**になってしまう恐れさえあります。

逆に言えば、Instagram上で魅力的な発信を続けることで、顕在層だけでなく潜在的な顧客層にも強力にアプローチできるチャンスが広がっています。

2．ホテル・旅館についての投稿が多い

Instagramというプラットフォームの特性上、旅行やホテルでの滞在体験は**「映えるコンテンツ」として非常に相性が良い**という側面があります。

ユーザーは自身の素敵な体験を誰かに共有したいという承認欲求を持っており、非日常的な空間であるホテルは、その欲求を満たす最高の舞台となります。

これをマーケティング用語ではUGC（ユーザー生成コンテンツ）と呼びますが、ホテル業界はこのUGCが自然発生しやすい稀有な業種なのです。

例えば、客室から見える絶景、こだわりの朝食、洗練されたインテリアなどは、宿泊客がついスマートフォンを向けて投稿したくなる要素に満ちています。

ホテル側が多額の広告費をかけずとも、宿泊客自身が熱量の高い宣伝マンとなって、彼らのフォロワーに向けて貴館の魅力を拡散してくれるのです。

さらに、公式アカウントがユーザーの投稿をメンションして紹介することで、「顧客を大切にするホテル」という好感度も醸成されます。

このように、Instagram上には既に貴館の話題が生まれている可能性が高く、それを公式が拾い上げて増幅させる仕組みを作ることが、現代の集客における勝ち筋となります。

3．インフルエンサーとコラボして広告費を抑えられる

従来のマスメディア広告や旅行雑誌への掲載は、数百万円単位の予算が必要となることも多く、費用対効果が見えにくいという課題がありました。

一方で、Instagram上で影響力を持つインフルエンサーとのコラボレーションは、ターゲットを絞り込んだ効率的なPRを可能にします。

旅行やライフスタイルに特化したインフルエンサーのフォロワーは、最初から「旅行に行きたい」「素敵なホテルを知りたい」という高い熱量を持った見込み客です。

彼らに宿泊体験を提供し、そのリアルな感想を発信してもらうことで、広告臭を消しながら自然な形で認知を広げることができます。

インフルエンサーの投稿は、単なる宣伝ではなく「信頼するあの人が勧めるなら」という**第三者推奨（ウィンザー効果）**が働き、予約への転換率が非常に高いのが特徴です。

また、マイクロインフルエンサーと呼ばれる特定のコミュニティに強い影響力を持つ層と組むことで、低予算でも驚くほどの反響を得られるケースが多々あります。

高騰するOTAの手数料や不特定多数へのマス広告に予算を投じるよりも、信頼と共感に基づいたインフルエンサーマーケティングの方が、遥かに高いROI（投資対効果）を期待できるのです。

【成功事例】参考にしたい人気のホテルインスタアカウント3選

理論だけでなく、実際にInstagramを駆使してファンを獲得し、集客に成功しているホテルの具体例を見ることは非常に重要です。

成功しているアカウントには、共通して「独自の世界観」と「顧客への提供価値」が明確であるという特徴があります。

ここでは、それぞれ異なる強みを持つ3つのホテルアカウントを分析し、自社の運用に取り入れるべきエッセンスを抽出して解説します。

1．「ホテル雅叙園東京」

東京都目黒区に位置する「ホテル雅叙園東京」は、単なる宿泊施設を超えた**「ミュージアムホテル」としてのブランディング**に成功しています。

そのアカウント運用における最大の特徴は、豪華絢爛な館内の美術品や装飾を、圧倒的なクオリティの写真で紹介している点にあります。

「ホテル雅叙園東京」で参考にしたいポイント

彼らは、ただ施設を見せるだけでなく、季節ごとのイベントや企画展と連動したキャンペーンを巧みに実施しています。

例えば、館内の特定のスポットを撮影して投稿することでプレゼントが当たる企画など、ユーザー参加型のコンテンツを積極的に展開しています。

これにより、フォロワーは単なる情報の受け手ではなく、ホテル体験の一部を構成する参加者としての意識を持つようになります。

また、投稿される写真の一枚一枚が芸術作品のように美しく、フィード全体がひとつの画集のような完成度を誇っている点も見逃せません。

「ここに行けば、こんなに美しい世界に没入できる」という強烈な体験価値を視覚的に訴求し続けている点が、多くのファンを惹きつける要因です。

2．「DDD HOTEL」

東京都中央区の「DDD HOTEL」は、既存のビジネスホテルをリノベーションし、ミニマルで洗練されたデザインホテルへと生まれ変わらせた事例です。

彼らのInstagramアカウントは、余計な情報を削ぎ落とし、徹底的にトーン＆マナーを統一することで、独自の世界観を確立しています。

「DDD HOTEL」で参考にしたいポイント

投稿される写真には、派手な装飾や過度な演出は一切なく、静謐（せいひつ）で落ち着いた空気感が漂っています。

これは、ターゲットである「感度の高いクリエイター層」や「シンプルライフを好む層」に対して、言葉以上のメッセージを伝えています。

WebサイトのデザインとInstagramの世界観が完全にリンクしており、ユーザーがどの接点から入ってもブランドイメージがブレない強固な一貫性があります。

また、ホテル内のカフェやアートギャラリーの様子も日常の一部として切り取られており、**「ここに滞在するライフスタイルそのもの」**への憧れを醸成しています。

情報の多さで勝負するのではなく、「何を伝えないか」という引き算の美学が、結果として強力な差別化につながっている好例です。

3．ザ ホテル山楽 金沢

観光都市・金沢に位置する「ザ ホテル山楽 金沢」は、伝統と格式を感じさせるラグジュアリーな運用でファンを獲得しています。

古都金沢の風情とホテルの持つクラシカルな魅力を融合させ、**「大人の上質な旅」**を求める層に的確にアプローチしています。

「ザ ホテル山楽 金沢」で参考にしたいポイント

特筆すべきは、写真から伝わる**「シズル感」や「温度感」**へのこだわりです。

例えば、朝食のクロワッサンのサクサク感が伝わるような接写や、湯気が立ち上るような料理の写真は、見た人の食欲と宿泊意欲を直接的に刺激します。

また、中庭の四季折々の変化を丁寧に切り取ることで、**「いつ訪れても違った美しさがある」**という再訪の動機付けを行っています。

高級ホテルとしての品格を保ちつつも、決して敷居が高すぎず、「自分へのご褒美に泊まりたい」と思わせる親近感も兼ね備えたバランス感覚が絶妙です。

フォロワー数は大規模アカウントに比べると成長途中ですが、エンゲージメント（いいねやコメント）の質が高く、濃いファンを育てていることが伺えます。

インスタのホテルアカウントを運用するポイント

成功事例を見てきましたが、これらをただ真似するだけでは、自社の成果には繋がりません。

Instagram運用で成果を出すためには、アルゴリズムの理解と、自社の強みに合わせた戦略的な設計が不可欠です。

ここでは、明日からの運用を劇的に改善するために押さえておくべき、プロが実践する6つの運用ポイントを詳細に解説します。

1．コンセプトを設計する

Instagram運用において最も重要かつ最初に取り組むべきは、「誰に」「何を」「どう」伝えるかというコンセプト設計です。

なんとなく綺麗な写真を投稿するだけのアカウントは、「誰にも刺さらない」アカウントになりがちです。

自社のホテルが提供できる価値は「極上の癒やし」なのか、「ワクワクする冒険」なのか、あるいは「暮らすような滞在」なのかを言語化する必要があります。

コンセプト設計の手順

まずは、徹底的な**競合調査（ベンチマーク）**を行い、自社の立ち位置（ポジショニング）を把握することから始めます。

次に、「ペルソナ」と呼ばれる架空の顧客像を詳細に設定します。

「30代女性」といった大まかな属性ではなく、「都内で働く32歳、週末はカフェ巡りが趣味、最近疲れ気味でデジタルデトックスを求めている」といったレベルまで具体的にイメージします。

そのたった一人のペルソナに向けて、どのような写真や言葉を投げかければ心が動くかを考え抜くことが、刺さるコンテンツを生む源泉となります。

このコンセプトが固まって初めて、投稿画像のトーンやキャプション（文章）の語り口が決まるため、運用の軸がブレなくなるのです。

2．フィード投稿について把握する

Instagramの顔とも言える「フィード投稿」は、アカウントの第一印象を決定づけるショーケースのような役割を果たします。

ここで重要なのは、単発の投稿の見栄えだけでなく、プロフィール画面で一覧表示された時の統一感です。

ユーザーは投稿を見て気になった後、必ずプロフィール画面に遷移し、過去の投稿をざっと眺めてからフォローするかどうかを瞬時に判断します。

フィード投稿における保存率の重要性

また、現在のアルゴリズムにおいて最重要視されている指標が、**「保存数（保存率）」**です。

「いいね」が一瞬の感情表現であるのに対し、「保存」は**「後で見返したい」「いつか行きたい」という強い意思表示**であり、未来の予約に最も近い行動です。

Instagram側も、保存が多い投稿を「有益なコンテンツ」と判断し、発見タブ（おすすめ）への露出を増やす傾向にあります。

保存率を高める方法

保存率を高めるためには、単なる風景写真だけでなく、「情報としての価値」を付加することが効果的です。

例えば、写真をスワイプした後の2枚目以降に、「おすすめの過ごし方3選」や「ホテル周辺の穴場グルメマップ」といった文字情報を盛り込んだマガジン形式の投稿などが有効です。

ユーザーにとって**「ガイドブック代わりになる投稿」**を目指すことで、保存数は劇的に向上します。

3．リール動画を伸ばすコツを把握しておく

静止画だけでは伝えきれないホテルの空気感、例えば波の音、木々のざわめき、料理の湯気、シーツの質感などを伝えるには、動画（リール）が最適です。

現在、InstagramはTikTokに対抗するためにショート動画を優遇しており、フォロワー以外の新規層にリーチする力はフィード投稿の数倍から数十倍あります。

リール動画を伸ばすコツは、冒頭の1〜2秒でユーザーの指を止めさせるインパクトを作ることです。

美しい映像の始まりに、「本当は教えたくない」「一生に一度は泊まりたい」といった興味を惹くテキストを乗せることで、視聴維持率を高めることができます。

また、流行している音源を使用することで、トレンドに乗って拡散される確率も高まります。

4．魅力的なプロフィールを設定する

どれだけ良い投稿をしても、プロフィール文が魅力的でなければフォローには繋がりません。

プロフィールは、いわば**ホテルの「看板」であり「名刺」**です。

ここには、ホテルの名前や場所だけでなく、**「フォローすることでユーザーが得られるメリット」**を明記する必要があります。

例えば、「金沢の隠れ家ホテルの日常をお届け」「季節の金沢グルメ情報を発信中」といったように、何の情報が得られるアカウントなのかを一目でわかるようにします。

また、予約サイトへのリンク（URL）を設置することはもちろん、ハイライト機能を活用して、「客室」「料理」「アクセス」などの情報を整理しておくことで、ユーザーの利便性を高めましょう。

5．DMの返信を忘れない

Instagramは一方的な発信ツールではなく、双方向のコミュニケーションツールです。

フォロワーからのコメントやDM（ダイレクトメッセージ）に対して、丁寧に返信を行うことは、アルゴリズム上の評価を高めるだけでなく、ファン化を促進します。

「いつか泊まりたいです」というコメントに、「ぜひお待ちしております」と返すだけでなく、「今の時期は紅葉がとても綺麗ですよ」といったプラスアルファの情報を添えることで、親近感はグッと増します。

このような地道なコミュニケーションの積み重ねが、「このホテルに泊まりたい」という感情的な繋がりを生み出し、最終的な予約の決め手となるのです。

6．機能ごとのアルゴリズムを把握しておく

Instagram運用で成果を出し続けるには、各機能の役割と評価基準を理解しておく必要があります。

ストーリーズは、既存のフォロワーとの親密度を高めるための機能であり、アンケート機能や質問ボックスを使ってユーザーと交流することで、フィード投稿の表示順位も上がります。

一方、フィード投稿やリールは新規顧客へのリーチを目的としています。

このように、「攻め（新規獲得）」と「守り（ファン育成）」の機能を使い分け、総合的にアカウントを育てていく視点が重要です。

定期的にインサイト（分析データ）を確認し、どの投稿が反応が良かったのか、どの時間帯に見られているのかを分析し、PDCAサイクルを回し続けることが成功への近道です。

アカウントを運用する際の注意点

Instagram運用には大きな可能性がありますが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。

ここでは、多くのホテルが陥りがちな落とし穴と、運用を継続するための注意点について解説します。

1．写真だけでなく動画も活用する

「インスタ映え＝綺麗な写真」という固定観念に縛られ、静止画ばかりを投稿してしまうのは非常にもったいないことです。

現代のユーザーは、加工された完璧な写真よりも、動画から伝わるリアルな情報を求めています。

写真では広く見えた部屋が実際は狭かった、というようなギャップを防ぐためにも、ルームツアー動画などでありのままを見せる方が、結果的に顧客満足度は高まります。

動画編集は難しく考えすぎず、スマホで撮影した短いクリップを繋ぎ合わせるだけでも十分魅力的なコンテンツになります。

2．珍しいテーマを設定してみる

「きれいな部屋」「おいしい料理」といった一般的なアピールだけでは、数多ある競合ホテルの中に埋もれてしまいます。

例えば、「朝食のパンに異常にこだわるホテル」や「看板猫の日常を追うアカウント」など、ニッチなテーマや切り口を設定することで、特定のファン層に強く刺さることがあります。

自社のホテルには何もないと思わず、スタッフの人柄や周辺のディープなスポットなど、独自の資源を掘り起こしてみてください。

「他とは違う何か」を発信することが、選ばれる理由になります。

3．近隣の観光地情報も掲載する

ユーザーはホテルに泊まることだけが目的ではなく、その地域での旅行体験全体を楽しみにしています。

そのため、ホテルの中の情報だけでなく、徒歩圏内のおしゃれなカフェ、地元の人が通う居酒屋、絶景スポットなどの周辺情報を積極的に発信しましょう。

「このホテルに泊まれば、こんな楽しい旅行ができる」という滞在後の未来を具体的にイメージさせることができれば、予約へのハードルは大きく下がります。

地域と連携し、エリア全体の魅力を高めるハブのような存在を目指すことが、結果としてホテルの価値を高めることに繋がります。

まとめ：インスタを活用してホテルの集客につなげよう

本記事では、ホテル業界におけるInstagram運用の必要性から、具体的な成功事例、そして実践的な運用のポイントまでを深掘りして解説してきました。

重要なポイントを改めて振り返ります。

• 検索行動の変化に対応するため、インスタ運用は必須である
• UGC（口コミ）を活用し、信頼性の高い集客チャネルを構築できる
• コンセプト設計と保存率を意識した「有益な投稿」が鍵となる
• 静止画だけでなく動画を活用し、リアルな空気感を伝える
• フォロワーとの対話を大切にし、ファンを育てることが予約に繋がる

Instagram運用は一朝一夕で成果が出る魔法の杖ではありませんが、正しい戦略と継続的な努力があれば、広告費をかけずに安定した集客を実現する最強の資産となります。

まずは、今日ご自身のホテルのアカウントを見直し、「たった一人のペルソナ」に向けた投稿を一つ作ってみることから始めてみてください。

その小さな一歩が、未来の満室へと続く確かな道となるはずです。